第18回 イコライザーの使い方

イコライザーとは
周波数と楽器音
XGに搭載されているイコライザー


さて今月の講座は、エフェクトの続きと言うことで、イコライザーについて説明しましょう。XGでは、バリエーションエフェクトに「2BAND EQ」と「3BAND EQ」を内蔵しているほか、MU128やMU100などではパートごとに2バンドのEQ、そしてシステムに5バンドのEQが付加されるなど、EQによる音色補正をとても重視している感があります。

ただし、EQを使いこなすためには各楽器の周波数特性や倍音の知識が必要になるなど、一筋縄ではいきません。ここでは、周波数と楽器音の関係などを含めてじっくりと説明するつもりです。


イコライザーとは

イコライザーは、エコーと並んで一般の人に最もよく知られたエフェクトでしょう。ステレオなどのオーディオ機器には、簡単なトーンコントロールのようなものから、多数のつまみが付いた本格的なグラフィックイコライザーまで、さまざまなイコライザーが搭載されています。最近多いのが低音域を持ち上げる機能で、これもイコライザーの一種と考えていいと思います。

イコライザーとは、特定の周波数のレベルを増幅(ブースト)または減少(カット)して音の性質を変える装置のことで、補正の用途から積極的な音作りまで幅広い用途で使われます。たとえば、音を補正する用途としては、部屋の音響特性に合わせて音を調整したり、PAでハウリングを起こす周波数を少しカットしたり。また、積極的な音作りの用途では、高音をカットしてわざとモコモコの音にしたり、低音をカットし中高域をブーストしてファズがかかったような音にするなど、活躍の範囲が広いエフェクトです。

イコライザーとしてよく使われるものに、グラフィックイコライザー(グライコ)とパラメトリックイコライザー(パライコ)があります。

●グラフィックイコライザー

グライコのパネルには、スライドボリュームがずらっと並んでいます。これは、音全体をいくつかの周波数帯域に分割し、その帯域に1つずつスライドボリュームを対応させてあります。エフェクターとしては5〜10素子のものが一般的で、その場合の周波数は1kHzを基準にしてオクターブ上の2kHz、4kHz、低い方にはオクターブ下の500Hz、250Hzとポイントが並びます。当然、素子が多い方が細かいニュアンスを表現できるわけで、プロ用の機器には1/2オクターブや1/3オクターブに帯域を分割した20〜30素子以上の、まるでスライドボリュームのお化けのようなものもあります。
グライコの特徴は、なんといっても操作のわかりやすさです。素子が等間隔で並んでいる上、つまみがスライドボリュームなので各周波数のブーストやカットの量をひとめで見渡すことができます。
逆にグライコの欠点として、決められたポイント以外の周波数はコントロールできないという点があげられます。これは、グライコの構造上仕方のないことなのですが、これを補うような特徴を持ったイコライザーが、次のパライコです。

●パラメトリックイコライザー

パライコは、グライコのスライドボリュームの替わりに、「フリケンシー」、「ゲイン」、「Q(ウィズ)」の3つのツマミが1セットで用意されています。
フリケンシーのツマミでは、カット/ブーストする周波数を設定します。グライコでは固定だった周波数を可変にすることで、イコライジングの自由度が増しています。一方で、1つのポイントで広い周波数帯をカバーできるため、グライコのように多くの周波数ポイントは持っていません。一般的なパライコでは3〜5個のフリケンシーのツマミを持ち、それぞれが特定の帯域(たとえばロー、ミッド、ハイなど)を受け持っています。
ゲインのツマミでは、カット/ブーストのレベルを設定します。ちょうど、グライコのボリュームツマミに当たります。
Q(ウィズ)のツマミでは、ゲインをカット/ブーストする周波数の幅を設定します。Qが広いとフリケンシーで設定した周波数を中心にして広い範囲でゲインがブースト/カットされ、音色の変化が大きくなります。逆にQが狭い場合には、特定の周波数だけをブースト/カットすることで、音色に独特のクセをつけることができます。このように、グライコでは固定されていたQを操作することにより、より積極的に音作りが可能であることが、フリケンシーを可変できることよりも大きなパライコのメリットです。



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周波数と楽器音

ここまで、イコライザーの仕組みについては理解していただけたと思います。でも、これだけではイコライザーは使えません。というのも、イコライザーがブースト/カットした周波数が楽器や曲全体の音色に対してどういう影響を与えるのか、についての知っていなければ、コントロール方法だけを知っていても無意味だからです。

そこで、周波数と楽器音の関係に付いて、簡単に説明しておきましょう。周知のことですが、楽器のピッチの基本になるのは、真ん中のラ(A3)の音で、周波数は440Hzと決まっています。それを基準にして、1オクターブ上がるごとに周波数は2倍に、下がるごとに半分になります。たとえば、ピアノの鍵盤はラ(A3)より上に約3オクターブ、下に4オクターブあるので、おおよそ27.5Hz〜3.5kHzの範囲の周波数の音が出ることになります。

ただし、これは倍音を考えなかった場合。実際にピアノのラ(A3)の鍵盤を弾くと、440Hzの音だけではなく、220Hzの音(0.5倍音)や、880Hzの音(2倍音)、1.32kHz(3倍音)、1.76kHz(4倍音)などの倍音も発生します。ですから、ラ(A3)の音が鳴っている場合でも、1kHzをブースト/カットすれば音は変わります。

また、バスドラムやベースなどは一般に低音楽器と思われていますが、アタック時には中高域にわたる倍音が発生しています。このことを知っていれば、バスドラムのアタック感を出したい場合に、低域ではなく高域をブーストすることができるでしょう。[図1]は、代表的な楽器の基音と倍音の分布をおおざっぱに表したものです。参考にしてください。また、次に各周波数帯域の特長をあげておきます。これもイコライザーを操作する際の参考にしてください。

 [図1]

■超低音域…20〜40Hz

ピアノやハープ、パイプオルガンなどの最低音や部屋の共鳴などにあたる周波数帯域です。

■低音域…40〜160Hz

ドラム、ベース、オルガン、ギター、弦楽器などの低音域にあたり、音楽の土台となる周波数帯域です。

■中低音域…160〜320Hz

金管楽器、木管楽器の低音域にあたる周波数帯域です。

■中音域…320〜2.6kHz

ほとんどの楽器の音が密集する周波数帯域です。

■中高音域…2.6〜5kHz

耳が最も敏感に感じる帯域で、音の透明度や音像の低位感、聴感上の音量などを大きく左右する周期数帯域です。

■高音域…5〜10kHz

音に輝きを与える周波数帯域です。



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XGに搭載されているイコライザー

ここで、XGに搭載されているイコライザーのパラメーターを確認してみましょう。XGworksV2.0を起動し、XGエディターを開いてください[図2]

[図2]

まず、バリエーションエフェクトのイコライザーを見ましょう。XGエディターから、バリエーションユニットのDETAILボタンをクリックして、バリエーションダイアログを表示し、TYPEを3BAND EQに設定します[図3]。このイコライザーは、ロー、ミッド、ハイの3つのバンドを持った、パラメトリックイコライザーで、ミッドについてはQ(Width)が設定できるものの、ロー、ハイについてはQが設定できません。おそらく、ローとハイについては、イコライザーのタイプがピークを持たず、Qを設定できないシェルビングタイプに設定されているものと思われます。

[図3]

次に、パートごとに搭載されたイコライザーです。XGエディターからパートユニットのDETAILボタンをクリックし、クイックエディット画面でさらにDETAILボタンをクリックして、イコライザーの設定画面を表示します[図4]。このイコライザーも、Qは設定できません。

[図4]

最後にシステムイコライザーです。XGエディターからイコライザーユニットのDETAILボタンをクリックすると、イコライザーダイアログが表示されます[図5]。このイコライザーは5バンドのパラメトリックイコライザーで、全てのバンドにフリケンシー、ゲイン、Qの3つのパラメーターが用意されています。また、両端のバンドについては、シェルビングタイプも選択できる仕組みになっています。

[図5]


XGに搭載されているイコライザーの紹介では、やや駆け足になってしまいました。そのかわり、来月はイコライザーの使い方について、具体的にご紹介するつもりです。



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