"VL1"講座-3


「コントローラーの仕組みを理解しよう」

もくじ(読みたい項目をクリックして下さい)

1.VL1のコントローラー

2.VL1のコントローラーディスティネーション


VL1の高い表現力を支えているのが、ボイスごとに設定されているコントローラーです。
コントローラーは、プレーヤーとVA音源の間にあってプレーヤーの意志をVA音源に伝える働きをしています。
ですからいい演奏をするためには、コントローラーをプレーヤーが最も使いやすい状態に設定することが重要になります。
ここでは、コントローラーがVA音源をコントロールする仕組みと、その設定方法について説明します。


1.VL1のコントローラー

    「コントローラーソース」と「コントローラーディスティネーション」

    プレーヤーが楽器をコントロールする仕組みを、アコースティック楽器とVL1で比較してみましょう。 サックスの演奏を例にして考えて見ましょう。サックスプレーヤーは、決して指だけを動かしてサックスを演奏しているわけではありません。息を吹き込む強さ、唇によるリードの締め付け、グロートーンやハーフタンギングなどの各種奏法をコントロールしながら演奏しています。

    VL1は、サックスプレーヤーが楽器をコントロールするこれらの要素のほとんど全てを、音源をコントロールするパラメーターとして持っています。VL1ではこのパラメーターを、コントロール情報の受け側という意味で、コントローラーディスティネーションと呼んでいます。

    また、サックスが楽器をコントロールするこれらの要素を、キーボードプレーヤーが鍵盤だけで操作しようと思っても無理があります。そこでVL1では、コントローラーディスティネーションを、モジュレーションホイールやブレスコントローラーなどのコントローラーに割り当てることで表現力ある演奏を実現しているのです。VL1ではこれらコントローラーのことを、コントロール情報の送り側という意味で、コントローラーソースと呼んでいます。


    プレーヤーが音源をコントロールする仕組み

    次の図3-1は、プレーヤーが音をコントロールする仕組みについてアコースティック楽器とVL1を対比したものです。

    図3-1の左側のアコースティック楽器の場合、プレーヤーの「音を大きくしたい」といった意志は、息の強さやマウスピースを噛む力などに直接反映し、それが楽器に伝わって音が変化します。

    図3-1の右側のVL1の場合、プレーヤーの「音を大きくしたい」といった意志は、先程説明したコントローラーソースとコントローラーディスティネーションを経由して音源に伝わります。

    VL1をアコースティック楽器のように表情豊かに演奏するためには、使いたいコントローラーディスティネーションを、操作しやすいコントローラーソースに割り当てる必要があります。そして、演奏の際にはコントローラーの設定をしっかり把握し、アコースティック楽器を演奏しているつもりでコントローラーソースを操作します。

    たとえば、サックスの音を演奏しているとすると、息を強く吹き込みたいというときはモジュレーションホイール2でプレッシャーを、口の形を変えてピッチを変化させたいときにはピッチベンドホイールでアンブシュアを、ハーフタンギングでサブトーンを出したいときにはフットコントローラー1でタンギングを、強調したいフレーズではアフタータッチでグロウルをコントロールする、という具合に演奏するわけです。

    そうすると、楽器から出てくる音は、息遣いや表現方法まで生のサックスと全く同じ演奏をすることができます。


    VL1のコントローラーソース

    VL1には、表現豊かな演奏を実現するため、ピッチベンドホイール、モジュレーションホイール1,2をはじめ、多数のコントローラーソースが用意されています。

    図3-2は、VL1の持っている全てのコントローラーソースの一覧表です。
    モジュレーションホイール1,2は、ホイールを回す量を数値に変えるコントローラーソースです。モジュレーションホイール2は、コントロールナンバーが自由に設定できるので、他のコントローラーの代わりに使うこともできます。
    また、センターの位置にクリックがあるので、アンブシュアなどピッチのコントロールにも適しています。

    ブレスコントローラーは、息の量を数値に変えるコントローラーソースです。管楽器や弦楽器を表情豊かに演奏する際には、ぜひ使いたいコントローラーです。
    VL1には、ブレスコントローラーBC2が付属品として同梱されています。

    フットコントローラー1,2は、ペダルを踏み込む量を数値に変えるコントローラーソースです。フットコントローラー2は、コントロールナンバーが自由に設定できるので、他のコントローラーの代わりに使うこともできます。
    VL1には、フットコントローラーFC7が付属品として同梱されています。

    アフタータッチは、鍵盤を押し込む強さを数値に変えるコントローラーソースです。

    ピッチベンドホイールは、ホイールを回す量を数値に変えるコントローラーソースです。バネによって手を離すとセンターの位置に戻るため、アンブシュアなどピッチのコントロールに最適です。

    ベロシティは、鍵盤を弾くタッチの強さを数値に変えるコントローラーソースです。

    ブレスアタックは、ブレスコントローラーの息を吹き込む強さの時間的変化を数値に変えるコントローラーソースです。
    強く息を吹き込んでいるときよりも、息の強さの変化が大きいときに大きな値が出ます。

    タッチEGは、ベロシティとアフタータッチを組み合わせたコントローラーです。
    鍵盤を弾く瞬間はタッチの強さを数値に変え、その後鍵盤を押さえる強さを数値に変えます。ベロシティとアフタータッチの両方の表現を連続的にコントロールしたいときに使います。

    コンティニュアススライダー1,2は、つまみを動かした量を数値に変えて色々なパラメーターを直接コントロールします。
    全てのエディットパラメーターから任意のものを設定してコントロールできるため、他のコントロールソースではコントロールできない項目までコントロールできます。

    フットスイッチ1,2は、ペダルを踏んだかどうかを数値に変えるコントローラーです。他のコントローラーと違い、On、Offしかない項目をコントロールするのに適しています。


    VL1のコントローラーディスティネーション

    VL1では、さまざまな変化をリアルタイムに与えるために、多くのコントローラーディスティネーションを装備しています。
    下の表は、すべてのコントローラーディスティネーションに対応したアコースティック楽器の演奏法を表しています。
    下の表でもわかるように、VL1は生楽器を演奏する際の音質変化に関わる効果をほとんどすべて持っています。

    次の節では、コントローラーディスティネーションの中からいくつかをピックアップして詳しく解説します。

    VL1ではコントローラーディスティネーションを、エレメントエディットのコントローラーの部分で設定します。
    プレイモードから、[EDIT]ボタンを押し、続けて[F2](E1)もしくは[F3](E2)、そして[F1](Cont)を押すと、ディスプレイにコントローラーのエディットメニューが表示されます。

    上の図3-4のように、コントローラーのエディットには、コントローラーディスティネーションごとに14のエディットメニューが用意されています。



2.VL1のコントローラーディスティネーション

    VL1は、14種類のコントローラーディスティネーションを通して音源をコントロールすることで、アコースティック楽器のような表現力豊かな演奏を行います。

    ここでは、14種類のコントローラーディスティネーションの中で、使用頻度の高いプレッシャー、アンブシュア、ピッチ、ビブラート、タンギング、グロウルについて解説します。

    ここからは概念的に理解していただくだけではなく、VL1で実際に音を確かめて理解していただく内容になっています。
    音を確かめるためのボイスとして、ファクトリーセットの中の「A-1:Tenor Sax」を使います。あらかじめ付属のフロッピーディスクからファクトリーボイスをロードし、「A-1:Tenor Sax」を呼び出しておいてください。


    プレッシャー(Pressure)

    ●プレッシャーとは

    プレッシャーは、管楽器で管に吹き込む息の強さや、擦弦楽器で弓を引く速さに対応したコントローラーディスティネーションです。

    下の図3-5は、サックスとバイオリンで息の強さや弓を引く速さが、音にどういった変化を与えているかを示したものです。
    この図のように、サックスやバイオリンでは、息の強さや弓を引く速さによって、音量ばかりではなく音色やピッチまでがダイナミックに変化します。このダイナミックな変化は、サックスやバイオリンの豊かな表現力を支えています。

    VL1では、管楽器や擦弦楽器におけるこのダイナミックな音の変化を、プレッシャーが音源をコントロールすることで作りだしています。
    そして、モジュレーションホイールやフットコントローラー、ブレスコントローラーなどのコントローラーソースを通してプレッシャーにデータを送ることで、アコースティック楽器と同じようにリアルタイムに息の強さをコントロールする仕組みになっています。

    • プレッシャーは、音源的にはインストゥルメントのドライバーに入るプレッシャーの値をコントロールしています。
      詳しくは、「2.VA音源の仕組み」をご覧ください。


    ●演奏してみよう

    それでは、プレッシャーをコントロールしながら実際にVL1を演奏してみましょう。
    ボイスは、ファクトリーセットの「A-1:Tenor Sax」を使います。
    「A-1:Tenor Sax」のプレッシャーには、ブレスコントローラーがアサインされています。また、モジュレーションホイール2とフットコントローラー2がブレスコントローラーに設定されているので、これらのコントローラーでもプレッシャーをコントロールすることができます。

    コントローラーは五線の下の表記を参考にして操作し、プレッシャーによる音量、音色、ピッチの変化を確かめてください。実際にサックスを吹いているつもりになってコントローラーを操作すると、いい音がでるようになります。

    どうでしょうか。音量だけの変化ではない、リアルな息遣いが体験できたでしょうか。

    • プレッシャーでは、音量、音色と共に音程も変化します。
      プレッシャーによる音程の変化は、コントローラーがMAX(最大)の状態で標準ピッチになり、値が下がると共に標準ピッチよりも下がるように設定されています。
      プレッシャーの値を下げすぎると音程が不安定になるので注意してください。


    ●演奏してみよう2(タンギングをマスターしよう)

    プレッシャーによって管楽器の息遣いをシミュレーションするときに、忘れてはならないのがタンギングです。
    タンギングとは、舌を使って音にアタック感を出す演奏方法です。管楽器ではたいていの音は、タンギングによってしっかりしたアタックをつけて発音します。

    • ここで説明しているタンギングは舌を使った息のコントロールのことで、VL1のコントローラーディスティネーションのタンギングとは別の演奏方法です。混同しないように注意してください。


    それでは、VL1でタンギングをつけて演奏してみましょう。

    モジュレーションホイール2やフットコントローラー2を使う場合は、鍵盤を弾くと同時にコントローラーをMax(最大)にあげ、すぐに少しだけ戻すことでアタック感をつけます。

    ブレスコントローラーを使う場合は、実際の管楽器のタンギングとかなり近い奏法になります。まず、舌を上歯の裏側にあて、息をお腹にしっかりためてください。
    そして息を一気に吹き込むと同時にTUと発音するようなつもりで舌を上歯から離してください。このとき、息が一気にブレスコントローラーの穴に入り込んでいくような感じがつかめたらOKです。

    モジュレーションホイール2やフットコントローラー2でプレッシャーをコントロールしている場合は、五線の下の表示を参考にして操作してください。
    ブレスコントローラーを使っている場合は、「Tu」の表示のところでタンギングを行ってください。

    どうでしょうか。先ほどの演奏よりも、管楽器のニュアンスに近い音が出るようになりましたか。モジュレーションホイールやフットコントローラーでは少しニュアンスが出にくいので、色々と工夫してみてください。


    アンブシュア(Embouchure)

    ●アンブシュアとは

    アンブシュアは、管楽器で口や唇を締める強さや、弦楽器で弓を弦に押しつける圧力に対応したコントローラーディスティネーションです。
    下の図3-6は、サックスとトランペットでアンブシュアが、音にどういった変化を与えているかを示したものです。

    サックスでの効果

    サックスでは、アンブシュアという言葉で、マウスピースやリードを口で噛んだり締めたりする強さを表します。(下図3-7参照)

    サックスでは、アンブシュアを変化することで、ピッチと音色が大きく変化します。

    サックスの演奏で行われるビブラートやしゃくり上げなどの細かいピッチ変化は、ほとんどがアンブシュアによるものです。

    トランペットでの効果

    トランペットなどの金管楽器は、楽器自体にリードをもたず、唇を振動させてリードの機能を持たせています。

    そのため、サックスなどに比べてアンブシュアによる音色やピッチの変化が大きいのが特徴です。
    トランペットの実際の演奏では、アンブシュアを変えることによって倍音を調節し音階を作りだしています。
    もっとも、すべての音階をアンブシュアだけで作れるわけではなく、そのため3本のバルブが用意されていますが、アンブシュアが音階を作るのに重要な役割を持っているところがサックスとの大きな違いです。

    VL1のトランペットでも、アンブシュアによって倍音を切り替えることはできますが、実際のトランペットのようにアンブシュアだけで正確な音程を鳴らすのは非常に困難です。
    そのためVL1のトランペットでは、他の楽器と同じように、鍵盤を弾くことで正確な音程を取れるように音作りされています。
    また、VL1のトランペットでは、上図の倍音のうち第4倍音を使って音階を作りだしています。ですから、アンブシュアの値を上げることで第5倍音以上が、下げることで第3倍音以下の倍音を出すことができます。

    • アンブシュアは、音源的にはインストゥルメントのドライバーをコントロールしています。
      詳しくは、「2.VA音源の仕組み」をご覧ください。



    ●演奏してみよう

    それでは、アンブシュアをコントロールしながら実際にVL1を演奏してみましょう。
    ボイスは、ファクトリーセットの「A-1:Tenor Sax」を使います。
    「A-1:Tenor Sax」のアンブシュアには、ピッチベンドホイールがアサインされています。

    それではアンブシュアをピッチベンドホイールでコントロールしながら実際に演奏をしてみましょう。
    サックス奏者は、アンブシュア(マウスピースを締めつける強さ)を適度に保つことによってピッチを安定させています。ですから、アンブシュアを変化させることで簡単にピッチ変化を作ることができます。
    サックスの演奏では、この効果を使って、フレーズのはじまりで下からしゃくり上げるように演奏したり、細かなピッチ変化をつけたりします。
    これまでのシンセサイザーでは単にピッチだけを変化することでこの効果を作っていましたが、VL1ではアンブシュアを変化させることで音色変化を伴ったピッチ変化を作っています。ですから、非常にリアルな変化を付けることができます。

    上向きの矢印の付いているところは、音を弾く前にピッチベンドホイールを下げておき、音を弾きながら真ん中に戻してくるというように演奏します。すると、アンブシュアによるしゃくり上げの感じを自然に出すことができます。
    サックスでは、フレーズに変化を付けるために、アンブシュアでのピッチ変化をよく使います。実際のサックスの演奏を基にして、よく研究してください。
    (演奏する前に、モジュレーションホイール2を一番上に回してプレッシャーを最大にしておいてください)

    いかがでしょうか。アンブシュアでしゃくり上げをつけて演奏することで、サックスのニュアンスがかなり表現できるようになったのではないでしょうか。





    ピッチ(Pitch)

    ●ピッチとは

    ピッチは、トロンボーンのような管楽器で管の長さを変えたり、弦楽器の弦の長さ(弦を押さえる位置)を変えたときに起こる音程の変化に対応したコントローラーディスティネーションです。
    このコントロールソースはサックスなど管の長さを変えられない楽器で使うと、音程の変化がトロンボーンのようになるので注意が必要です。
    実際には、弦楽器と、トロンボーンをはじめとする一部の管楽器にだけ使うようにするといいでしょう。ただしサックスでも、アンブシュアのピッチ変化だけでは物足りない、もっと派手なピッチ変化が欲しいというときに、隠し味としてこのコントロールソースを使うといった方法もあります。

    • ピッチは、音源的にはインストゥルメントのパイプ/ストリングの長さをコントロールしています。
      詳しくは、「2.VA音源の仕組み」をご覧ください。

    3.ここで、[DEC]ボタンを押して「off」を選ぶと、オクターブボタンを押したまま鍵盤を弾いたときにだけ音程が変化します。オクターブボタンを離すと、元の音程に戻ります。
    [INC]ボタンを押して「on」を選ぶと、一度オクターブボタンを押すと、もう一度オクターブボタンを押すまで、音程が変化した状態が続きます。


    ビブラート(Vibrato)

    ●ビブラートとは

    ビブラートは、管楽器ではアンブシュアを、弦楽器ではピッチを細かく変化させて、音を周期的に揺らして変化させるビブラート効果に対応したコントローラーディスティネーションです。
    ビブラートは、管楽器や弦楽器を演奏する上で非常に重要な奏法です。
    サックスを例にとると、これまでのシンセサイザーはビブラートとしてピッチのみの周期的な変化をかけていました。
    しかし、VL1では実際のサックスと同じようにアンブシュアを変化させることでピッチと音色の両方が自然に変化するビブラートを作っています。
    ですから、非常にリアルなビブラートをかけることができます。

    • ビブラートは、音源的にはアンブシュアをLFO(低周波発振器)の波で周期的に変化させることで作っています。



    ●演奏してみよう

    それでは、ビブラートをかけながら実際にVL1を演奏してみましょう。
    ボイスは、ファクトリーセットの「A-1:Tenor Sax」を使います。
    「A-1:Tenor Sax」のビブラートには、モジュレーションホイール1がアサインされています。

    それではビブラートをモジュレーションホイール1でコントロールしながら実際に演奏をしてみましょう。
    ビブラートは、音を2拍程度のばしたところで少しずつモジュレーションホイール1を上げていき、徐々に変化が深くなるようなつもりでかけるのが上手なかけ方です。
    (演奏する前に、モジュレーションホイール2を一番上に回してプレッシャーを最大にしておいてください)

    いかがですか?
    サックスの場合、ビブラートはなるべく浅くかけるのがポイントです。


    タンギング(Tonguing)

    ●タンギングとは

    タンギングは、サックスのハーフタンギングやソフトタンギングという演奏法に対応したコントローラーディスティネーションです。
    ハーフタンギングとは、演奏中に舌をリードに軽く当ててリードの振動を調節し、ある音だけをこもらせる演奏法です。
    ジャズなどで、フレーズの中のアクセントを付けない音をとりわけ小さく演奏する際に使われます。また、音を長くのばしているときに、少しだけハーフタンギングを使い、音に変化を付けたりすることもあります。

    • ここでのタンギングは、プレッシャーの部分で説明している舌を使って息をコントロールするタンギングとは違う演奏法ですので注意してください。


    下の図3-8は、サックスにおいてハーフタンギングが音にどういった変化を与えているかを示したものです。
    この図のようにサックスでは、ハーフタンギングによって音量がやや小さくなり、こもった音色になります。

    ●演奏してみよう

    それでは、タンギングをコントロールしながら実際にVL1を演奏してみましょう。
    ボイスは、カスタマーセットの「A-1:Tenor Sax」を使います。
    「A-1:Tenor Sax」のタンギングには、モジュレーションホイール2がアサインされています。

    まず、鍵盤を弾いて音を出しながらモジュレーションホイール2を操作してください。
    モジュレーションホイール2を最大にしたときが、本来のテナーサックスの音です。モジュレーションホイール2を手前に回すと音がこもった感じに変化します。これが、ハーフタンギングです。
    次の楽譜のを演奏しながら、五線の下の記号の通りにモジュレーションホイール2を操作してください。


    グロウル(Growl)

    ●グロウルとは

    グロウルは、サックス特有のうなりながら吹くことによって作り出されるグロウル(グロー:glow)効果に対応したコントローラーディスティネーションです。
    うなりながら演奏することによって、のどが細かい振動でふるえ、それが息の強さを細かく変化させることでバリバリといったノイズ成分が音に含まれます。
    ジャズやポップスのサックスでは、フレーズを歌ったり、音を盛り上げたり、切ない感じを出すためにグロウルを多用します。
    ジャズやポップスのサックスを聴いていて、バリバリというノイズを含んだ音がしたら、それは奏者がグロウルを使っていると考えてください。
    図3-9は、グロウルによる音色の変化を表しています。


    ●演奏してみよう

    それでは、グロウルをかけながら実際にVL1を演奏してみましょう。
    ボイスは、ファクトリーセットの「E-2:Tenor Sax」を使います。
    「A-1:Tenor Sax」のグロウルには、アフタータッチがアサインされています。

    音を鳴らしながら鍵盤をゆっくり押し込んで、グロウルの効果を確認してください。
    鍵盤を押し込むと共に、バリバリというノイズが大きくなってきました。

    それでは、次の楽譜を演奏してみましょう。

    次の楽譜のを演奏しながら、五線の下の記号の通りにアフタータッチを操作してグロウルをかけてください。
    フレーズを歌いながら、気持が盛り上がったときに、気持の盛り上がりに合わせて少しだけグロウルをかけると、サックスに近い演奏になるはずです。

    最後に

    これでVL1とS/VA音源について解説したこの講座は終わりです。
    まったく新しい音作りの方式だけに、とまどいを覚えつつ読まれた方もおられるでしょう。
    しかし、シンセサイザーの新たな可能性に創造力を刺激された方も多いのではないでしょうか。
    シンセサイザーの可能性のワクを将来に向かって大きく押し拡げたバーチャルアコースティックシンセサイザーVL1。
    ここまで見てきた特長は、VL1の持っている魅力や可能性のほんの一部分でしかありません。みなさんも実際にVL1にふれて、そのサウンドを聴いて、その中に秘められた可能性を感じ取ってください。