特別講座-3

XG音源のエフェクトを使いこなそう

もくじ(読みたい項目をクリックして下さい)

●XG音源のエフェクトについて知ろう

●エフェクトをコントロールしよう

●XG音源のエフェクトについてもっと詳しく知ろう

●ここまで使えばプロフェッショナル



XG音源のエフェクトを使いこなそう

    XG音源の使いこなしのポイントは、何といってもエフェクトの使い方にあります。多彩なエフェクトによる抜群の表現力は、XGの持つ最も大きな魅力だといえるでしょう。

    しかし、エフェクトを使いこなすためには、エフェクトの内部構成や各エフェクトプログラムとエフェクトパラメーターの働き、シーケンサーからエフェクトをコントロールするためのエクスクルーシブの組み方など、多くの知識が必要であり、ひとすじなわではいきません。このため、せっかくのエフェクト機能を十分に活かしきれないユーザーの方が多いのが現実でしょう。

    そういったXGユーザーのために、ここではXG音源のエフェクト機能についてじっくりと解説し、エフェクト設定の手順を(エクスクルーシブデータを示しながら)具体的に解説したいと思います。





●XG音源のエフェクトについて知ろう

    XGでは、エフェクトを使いやすくするために、システムエフェクトとインサーションエフェクトといった区分けを設けています。しかし、この区分けを知らないために思い通りにエフェクトがかけられないといったこともあるようです。

    また、エフェクトを使いこなすためには、エフェクトセンド、ドライレベル、エフェクトリターンなどの関係をしっかりと理解する必要があります。

    ここでは、こういったエフェクトを設定する前提となる基本的な知識を解説します。


インサーションエフェクトとシステムエフェクト

    XG音源はリバーブエフェクト、コーラスエフェクト、バリエーションエフェクトの3つのエフェクトを搭載しています。

    このうち、リバーブエフェクトとコーラスエフェクトはシステムエフェクトに固定されており、バリエーションエフェクトはインサーションエフェクトとシステムエフェクトのどちらで使うかを選択することができます。

    システムエフェクトとは、リバーブやコーラスなどのように音場を作るためのエフェクトを指しています。音場とは、大ホールやライブハウスのステージなど、音が鳴っている空間のことです。音が鳴っている空間を作ることから、システムエフェクトのことを空間系のエフェクトと呼ぶこともあります。システムエフェクトを使用する場合は、ミキサーのエフェクトセンドからエフェクトへ信号を送り、エフェクトの出力をミキサーのエフェクトリターンで受けるのが一般的です(図1)

    この接続方法を採ることで、すべてのパートに対してエフェクト音を付加することができます。


    インサーションエフェクトとは、ディストーションやロータリースピーカーのように、音を変化させて独特なサウンドを得るためのエフェクトを指しています。そのため、インサーションエフェクトのことを音色変化系のエフェクトと呼ぶこともあります。ギターのシミュレーションに欠かすことのできないディストーションやオーバードライブをはじめ、フェイザー、フランジャー、オートワウなど、すべてインサーションエフェクトに区分けされるエフェクトです。インサーションエフェクトを使用する場合は、楽器のアウトプットをエフェクトのインプットに直接接続し、ドライ/ウェットのバランスで深さを調節しながらエフェクトをかけるのが一般的です(図2)

    この接続方法では、特定の1パートにだけ効果をかけることができる上、ウェットを100%に設定することでエフェクト音だけを出力することもできるので、音色変化系のエフェクトには便利です。

    このように、エフェクト全体を2種類に分けることによって、XGでは各エフェクトの役割がシンプルになり非常に使いやすくなりました。


エフェクトの内部構成

    XG音源では、リバーブエフェクトとコーラスエフェクトがシステムエフェクトとして機能し、バリエーションエフェクトがシステムエフェクトとインサーションエフェクトに切り替えができる仕組みになっています。図3図4に、XG音源のエフェクトの接続図を示します。

    バリエーションエフェクトがシステムエフェクトに設定されている場合図3は、3系統のエフェクトは並列に接続されています。各エフェクトの深さは、エフェクトごとのエフェクトセンドとエフェクトリターンによって決まります。

    たとえば、リバーブですと、「rev send」と「rev return」によって深さが決まります。エフェクトセンド(リバーブだと「rev send」)はパートごとに設定可能なので、同じリバーブでもパートごとに深さを変えることができます。また、エフェクトを通らないドライラインが用意されていて、最終的にエフェクトを通ってきたエフェクト音とこのドライラインを通ってきたドライ音がミックスされます。このため、ドライレベルによってもエフェクトの深さが変化します。当然、ドライレベルが低いとエフェクトが深くなります。

    ただし、エフェクトを通った音はパートで設定したパンが無効になってしまうため(エフェクトはモノラルなので)、ドライラインを下げるとエフェクトをかけたパートの定位が一ヶ所に固まってしまいます。ドライレベルはパートごとに設定可能なので、特にエフェクトを深くかけたいパート以外はデフォルトから変更しない方がいいでしょう。

    後で説明しますが、音色変化系のエフェクトをシステムエフェクトで使う場合などにドライレベルを下げるといいと思います。また、よく接続図を見るとコーラスエフェクトのアウトからリバーブエフェクトのインと、バリエーションエフェクトのアウトからコーラスとリバーブエフェクトのインへ、バスラインが接続されているのが分かります。このバスラインを使えば、3つのエフェクトを直列に接続することも可能になり、エフェクト活用の幅が広がります。

    バリエーションエフェクトがインサーションエフェクトに設定されている場合図4は、variation partで設定したパートだけにバリエーションエフェクトが接続されます。このため、特定のパートだけにディストーションなどの音色変化系のエフェクトをかける場合などに大変便利です。インサーションの場合は、バリエーションエフェクトの深さはdry/wetだけで設定します。バリエーションエフェクトを通った信号は、他のパートと同様にエフェクトセンドの設定に従ってシステムエフェクトに入ります。システムエフェクト部分は、リバーブエフェクトとコーラスエフェクトが並列に接続されています。





豊富なエフェクトタイプ


    XG音源のエフェクトの特長の1つとして、エフェクトタイプが豊富なことが上げられます。エフェクトごとのエフェクトタイプの数は、リバーブエフェクト表1とコーラスエフェクト表2が共に11プログラム、バリエーションエフェクト表3が42プログラムです。

    なかでもバリエーションエフェクトには、まるでマルチエフェクターをそのまま内蔵したかのようなバラエティー豊かなエフェクトプログラムが並んでいるのがわかります。 各エフェクトタイプの使い方も含めた詳しい説明は後にするとして、ここでMU80ユーザーのための注意をしておきましょう。

    表1.リバーブエフェクトタイプ

    表2.コーラスエフェクトタイプ

    表3.バリエーションエフェクトタイプ


    表1〜3のなかの「*」や「**」のついたエフェクトタイプに注目してください。「*」はMU80以外のXG音源が持っていてMU80が持っていないエフェクトタイプを、「**」は逆にMU80だけが持っているエフェクトタイプを示しています。つまり、MU80だけが異なったエフェクトのプログラムを内蔵しているわけです。MU80でXGデータを制作している方は、「**」のついたエフェクトタイプを使うとMU80以外のXG音源では効果がかからないので注意しましょう。

    また、MU80以外で制作されている方も、MU80で再生する可能性がある場合は、「*」のついたエフェクトタイプを使わない方がいいでしょう。




●エフェクトをコントロールしよう

    エフェクトの仕組みが一通り分かったところで、具体的なエフェクトのかけ方を説明しましょう。

エフェクト設定の流れ


    表4.デフォルトデータ(エフェクト)


    設定するエフェクトの種類によって、エフェクト設定の
    手順はずいぶん変わってきます。

    たとえば、XGリセットで音源を初期化すると、
    エフェクト関係のパラメーターは表4のような設定に
    初期化されます。

    このため、リバーブは全パートにはじめから効果が
    かかっている状態、コーラスはコントロールチェンジの
    93番でパートごとのエフェクトセンドを設定するだけで
    エフェクトをかけれる状態です。

    それとは逆に、バリエーションエフェクトで
    イコライザーを使う場合は、バリエーションタイプとパリエーションパート
    を設定した上にバリエーションパラメーターでイコライザーの
    細かい設定を行う必要があります。

    そこで、ここではエフェクトの種類ごとに設定の流れを説明します

    具体的な設定方法については、この後で説明します。





リバーブの設定
  • リバーブタイプでエフェクトの種類を設定します。(エクスクルーシブ)

  • リバーブセンドでパートごとのリバーブの深さを設定します。(コントロールチェンジ)

  • リバーブリターンで全体のリバーブの深さの調節を必要に応じて行います。(エクスクルーシブ)



コーラスの設定
  • コーラスタイプでエフェクトの種類を設定します。(エクスクルーシブ)

  • コーラスセンドでパートごとのコーラスの深さを設定します。(コントロールチェンジ)

  • センドコーラストゥーリバーブで、コーラスからリバーブへのバスラインの送りの量を必要に応じて設定します。(エクスクルーシブ)

  • コーラスリターンで全体のコーラスの深さの調節を必要に応じて行います。(エクスクルーシブ)



バリエーションの設定(インサーションの場合)
  • バリエーションタイプでエフェクトの種類を設定します。(エクスクルーシブ)

  • バリエーションパートで、バリエーションをかけるパートを選択します。(エクスクルーシブ)

  • 必要に応じてバリエーションパラメーターを設定します。(エクスクルーシブ)


バリエーションの設定(システムの場合)
  • バリエーションコネクションで、バリエーションをシステムエフェクトに設定します。(エクスクルーシブ)

  • バリエーションタイプでエフェクトの種類を設定します。(エクスクルーシブ)

  • バリエーションセンドでパートごとのバリエーションの深さを設定します。(コントロールチェンジ)

  • センドバリエーショントゥーリバーブで、バリエーションからリバーブへのバスラインの送りの量を必要に応じて設定します。(エクスクルーシブ)

  • センドバリエーショントゥーコーラスで、バリエーションからコーラスへのバスラインの送りの量を必要に応じて設定します。(エクスクルーシブ)

  • バリエーションリターンで全体のバリエーションの深さの調節を必要に応じて行います。(エクスクルーシブ)

エフェクトタイプを変更する方法

リバーブエフェクトのタイプを変更する
F0 43 10 4C 02 01 00 01 00 F7

  • 表1の各エフェクトタイプのMSBとLSBの値を、上記の MSB LSB の部分に当てはめます。

  • 上の例では、HALL1が選択されます。

コーラスエフェクトのタイプを変更する
F0 43 10 4C 02 01 20 41 00 F7
  • 表2の各エフェクトタイプのMSBとLSBの値を、上記の MSB LSB の部分に当てはめます。

  • 上の例では、CHORUS1が選択されます。

バリエーションエフェクトのタイプを変更する
F0 43 10 4C 02 01 40 49 00 F7
  • 表3の各エフェクトタイプのMSBとLSBの値を、上記の MSB LSB の部分に当てはめます。

  • 上の例では、DISTORTIONが選択されます。

エフェクトセンドを設定する方法

リバーブセンドの設定

    コントロールナンバー=91
コーラスセンドの設定
    コントロールナンバー=93
バリエーションセンドの設定
    コントロールナンバー=94
  • バリエーションコネクション=システムのときにだけ設定することができます(図3)。使わない方がいいでしょう。

バスラインの設定方法

センドコーラストゥーリバーブの設定
F0 43 10 4C 02 01 2E xx F7

  • 上記のxxの部分に0〜127(00〜7F)の値を設定します。
センドバリエーショントゥーリバーブの設定
F0 43 10 4C 02 01 58 xx F7

  • 上記のxxの部分に0〜127(00〜7F)の値を設定します。
  • バリエーションコネクション=システムのときにだけ設定することができます(図3)
センドバリエーショントゥーコーラスの設定
F0 43 10 4C 02 01 59 xx F7

  • 上記のxxの部分に0〜127(00〜7F)の値を設定します。
  • バリエーションコネクション=システムのときにだけ設定することができます(図3)

エフェクトリターンを設定する方法

リバーブリターンを設定する
F0 43 10 4C 02 01 0C xx F7

  • 上記のxx部分に0〜127(00〜7F)の値を設定します。
コーラスリターンを設定する
F0 43 10 4C 02 01 2C xx F7

  • 上記のxx部分に0〜127(00〜7F)の値を設定します。
バリエーションリターンを設定する
F0 43 10 4C 02 01 56xx F7

  • 上記のxx部分に0〜127(00〜7F)の値を設定します。
  • バリエーションコネクション=システムのときにだけ設定することができます(図3)


バリエーションコネクションの設定方法

バリエーションコネクト=インサーション
F0 43 10 4C 02 01 5A 00 F7

  • 初期状態はインサーションです。
バリエーションコネクト=システム
F0 43 10 4C 02 01 5A 01 F7


バリエーションパートの設定方法

F0 43 10 4C 02 01 5B xx F7

  • 目的のパートをオンにする場合は、xxの部分を下の表に従って変更します。




●XG音源のエフェクトについてもっと詳しく知ろう

    XGのエフェクトは、内蔵するエフェクトタイプや、各エフェクトタイプごとにコントロール可能なエフェクトパラメーターが多いため、なかなか100%使いこなすことは難しいようです。 またXG音源のエフェクトにとって、エフェクトタイプの変更は単なるパラメーターの変更ではなく、エフェクトの構造(アルゴリズム)自体が変化します。

    ですから、エフェクトの使いこなしには、エフェクトタイプの構造や効果の種類についてのしっかりした理解が不可欠です。

    ここでは、主要なエフェクトタイプとエフェクトパラメーターについて解説します。



リバーブエフェクトタイプ

    表1では、リバーブエフェクトに用意されている11種類のエフェクトタイプについて簡単に解説しています。ここでは、補足説明を行います。

No.1「ホール1」〜No.5「ルーム3」
  • シミュレートする音場の大きさや質感のバリエーションです。アンサンブル全体にかけるリバーブとして、音楽のジャンルやアンサンブルの規模に合わせてこの中のタイプを選びます。
No.10「トンネル」、No.11「ベースメント」
  • 一般的なアンサンブルに使用するものではなく、やや特殊な効果をねらったリバーブプログラムです。エフェクト音などにかけると、効果的でしょう。


コーラスエフェクトタイプ

    コーラスエフェクトには、表2のように、コーラス、セレステ、フランジャー、シンフォニック、フェイザーなどのディレイ変調系のエフェクトタイプが用意されています。

No.1「コーラス1」〜No.4「コーラス4」
  • コーラス効果をかけるためのエフェクトです。コーラスは、複数の音源が同時になっているような、音に奥行きと厚みを付加するエフェクトです。

  • 実際には、ディレイを使って、ディレイタイムをLFOによって1秒程度の周期で規則的に変化させ、音をビブラートがかかったような状態にしてから原音と混ぜることで、複数の音源を同時に鳴らした場合と同じような効果を作っています。

  • ストリングスやエレピなど、何にかけても拡がりや厚みが出るオールマイティーなエフェクトです。

  • 音を左右に拡げたいときに深めにかけるといった使い方をする場合もあります。


No.5「セレステ1」〜No.8「セレステ4」
  • 音にうねりや拡がりを加える、より重厚なコーラスエフェクトです。

  • コーラスが1種類のビブラート音を原音に混ぜていたのに対して、セレステではLFOの位相を120度ずつずらした3種類のビブラート音を原音と混ぜて、3相コーラスにしています。


No.9「フランジャー1」〜No.11「フランジャー3」
  • ジェット機の上昇下降音のような響きを作り出すエフェクトです。金属的なサウンドを作ることができます。あまりかけすぎないように、ギターの音などに薄めにかけて使います。


バリエーションエフェクトタイプ

    バリエーションエフェクトは、マルチエフェクター顔負けの豊富なエフェクトタイプを持っています。表3に、バリエーションエフェクトに含まれる各エフェクト・タイプについて、簡単な特徴を一覧表示しています。ここでは、特徴的なエフェクトについての補足説明を行います。

No.9「ディレイL,C,R」〜No.12「クロス・ディレイ」
  • ディレイ系のエフェクトタイプです。ディレイは、ディレイタイムやフィードバックレベルの設定によってさまざまな効果を作ることができる、応用範囲の広いエフェクトです。


No.31「シンフォニック」
  • セレステよりも重厚なコーラスです。ストリング系のアンサンブルなどに効果的です。

No.35「フェイザー」
  • 入力信号の位相を変調してうねり効果を出すエフェクトです。シュワシュワといった独特のトーンで、メローなサウンドを作ることができます。エレピ系や、ギター系の音にかけると効果的です。

No.32「ロータリースピーカー」
  • レスリースピーカーに代表されるロータリースピーカーの効果をシミュレートしたエフェクトです。




NO.37「ディストーション」
NO.38「オーバードライブ」
NO.39「アンプシミュレーター」

  • いずれも音を歪ませる働きを持ったエフェクトです。歪みの種類によって、3種類のエフェクトを使い分けます。

  • アンプシミュレーターのパラメーター表5には、Stack(スタック)、Combo(コンボ)、Tube(チューブ)の3種類のアンプ・タイプが用意されており、種類の異なった歪みを設定することができます。

    表5.アンプシミュレーターパラメーター

  • ディストーションパラメーター表6中のEQやLPF Cutoffを設定することで、歪みのバリエーションを作ることができます。シミュレートしたいサウンドに合わせて、いろいろと工夫してみてください。

    表6.ディストーションパラメーター

  • 歪み系のエフェクトをかけると、たいていの音色はギターっぽくなります。たまに、ギターよりもギターらしい音色があったりするのでいろいろと試してみてください。たとえば、ピッチベンドを使ってライト・ハンド奏法をシミュレートする場合などは、音の伸びが必要であることから、シンセ・リード系の音を歪ませてギターとして使うといった方法もあります。

NO.40「3バンドイコライザー」
NO.41「2バンドイコライザー」

  • パラメトリックイコライザーのエフェクトタイプです。いずれも、各帯域について中心周波数とゲインを設定することができます。


NO.42「オートワウ」
  • ローパスフィルターを開け閉めすることで音色を変化させるワウ効果を作るエフェクトタイプです。オートワウは、ローパスフィルターのカットオフ周波数をLFOで動かして、一定の周期でワウ効果がかかるようにしたもので、クラビ系の音色やギター、ベースで使うと効果的です。


エフェクトパラメーター

    XG音源のエフェクトでは、各エフェクトタイプに対して5〜16のエフェクトパラメーターを設定してエフェクトのかかり方をコントロールすることができます。

    ここでは、リバーブエフェクトのエフェクトパラメーター表7を例にとって解説します。パラメーターの設定によって、エフェクトの働きが大きく異なる点を実感してもらいたいと思います。

    リバーブエフェクトの各エフェクトタイプには、表7に示すようにリバーブ・タイム、ディフュージョン、デンシティ、ハイダンプなど、合計10のエフェクト・パラメーターが用意されており、バラエティーに富んだリバーブを設定することができます。エフェクトパラメーターを積極的に操作すれば、XG音源のエフェクトをより深く使いこなすことができます。

    表7.リバーブエフェクトパラメーター


    リバーブの主なパラメーターについて、簡単に解説しておきましょう。 Reverb Time(リバーブ・タイム)…残響音が消えるまでの時間をコントロールします。リバーブ・タイムを長くすると残響感が増し、そのかわりに音が奥に引っ込みます。 HPF Cutoff(ハイ・パス・フィルター・カットオフ)、LPF Cutoff(ロー・パス・フィルター・カットオフ)…残響を付けたくない音をカットします。HPF Cutoffと、LPF Cutoffの間の周波数の音に対して、リバーブがかかります。

    たとえば、HPF Cutoffを上げると、低音で演奏しているベースなどのパートにリバーブがかかりません。一般的にリバーブを深くする際には、HPF Cutoffは高めに、LPF Cutoffは低めに設定すると風呂場状態にならずに奥行きを出すことができます。

    Diffusion(ディフュージョン)…音の左右の拡がり感をコントロールすることで、音場の大きさをシミュレートできます。 Density(デンシティ)…残響音の密度です。値を大きくすると残響音が密になり、なめらかな残響音になります。また、意識的に密度を低くすることによって、特殊な効果をねらうこともできます。

    Er/Rev Balance(アーリーリフレクション/リバーブ・バランス)…リバーブを構成する2つの要素、アーリーリフレクション(初期反射音)とリバーブ音(残響音)の音量バランスを設定します。このパラメーターを操作すると、リバーブの性質が大きく変わります。 High Damp(ハイ・ダンプ)…高音域の減衰の速さを設定することで、音場の質感をシミュレートできます。

    リバーブは、最も基本的で、最も重要なエフェクトです。それだけに、データ制作の現場などでは、使用する楽器の種類や奏法、テンポなど、さまざまな要素を考えて、パートごとのリバーブ・センド・レベルや、ここにあげたパラメーターをコントロールしています。

    たとえばリバーブ・レベルは、細かい音符を刻んでいるパートや前に出したいパートでは小さく、長い音符で演奏しているパートや奥に引っ込めたいパートでは大くします。また、高音が耳に付くようだと、ハイ・ダンプを設定したり、LPFのカットオフを下げたりします。逆に低音が残りすぎる場合は、HPFのカットオフを上げます。残響音の量は曲の途中でシーケンスを止めて確認し、全体の残響が深くなり過ぎたらリバーブ・タイムを下げます。




●ここまで使えばプロフェッショナル

バリエーションエフェクト使いこなしのコツ

    ここで、バリエーション・エフェクトのちょっとした使いこなしのコツをお教えしましょう。まず、ディストーション等の音色変化系のエフェクトをシステムエフェクトで使う方法です。

    音色変化系のエフェクトはバリエーションコネクションをインサーションにして使うのが一般的です。しかし、どうしても複数パートにディストーションをかけたいという場合などは、次の2点に留意すればシステムエフェクトの状態でも音色変化系のエフェクトを使うことができます。

    1つめの留意点は、システムエフェクトのドライレベルの設定です。表4のあるようにドライレベルはデフォルトでは最大値になっています。そのため、せっかくのディストーションがドライラインのドライ音で薄くなってしまいます。ここでは、ドライレベルを0に設定してください。設定方法は、「エフェクトをコントロールしよう」のなかで説明しました。

    2つめの留意点は、バリエーションエフェクトとリバーブエフェクトの位置関係です。バリエーションコネクト=インサーションでは、バリエーションエフェクトとリバーブエフェクトが直列に接続されています。そのため、バリエーションエフェクトで付加されたディストーションのエフェクト音にもリバーブがかかります。ところが、バリエーションコネクト=システムでは、バリエーションエフェクトとリバーブエフェクトが並列に接続されているために、パリエーションエフェクトで付加されたディストーションのエフェクト音にはリバーブがかかりません。

    この問題は、センドバリエーショントゥーリバーブに値を設定して、バリエーションの出力をリバーブに送ることで解決します。ディストーションに限らず、音色変化系のエフェクトをシステムエフェクトで使用する場合は、必ずバリエーショントゥーリバーブでエフェクトのかかった音をリバーブに送るようにしましょう。

    この2つの設定に加えて、そのパートのリバーブエフェクト、コーラスエフェクトへのセンド・レベルをやや小さめにすると、バリエーション・コネクト=インサーションの時と同じ音になるはずです。

    次に、バリエーションエフェクトを使う上でのちょっとした注意を紹介しましょう。表3のNo.0に、NO EFFECT(ノーエフェクト)というエフェクト・タイプがありますが、バリエーション・エフェクトをインサーションとして使用している際にこのエフェクト・タイプを選ぶと、バリエーション・エフェクトがONになっているパートの音が全く出なくなってしまいます。

    インサーションエフェクトは楽器とミキサーの間に挟み込まれたエフェクトなので、そのエフェクトが無くなると楽器とミキサーの接続が切れてしまう、というのがその理由です。ですから、バリエーション・エフェクトがインサーションに設定されている場合は、No.46のTHRU(スルー)を使用しましょう。



エフェクトパラメーターのコントロール

    バリエーションエフェクトでは、各エフェクトパラメーターのControl欄に●が付いているパラメーターを、MIDIコントローラーでリアルタイムにコントロールすることができます。

    たとえば、モジュレーションホイールでコントロールする場合は、次のエクスクルーシブを送ります。

    F0 43 10 4C 02 01 5C 7F F7 同様に、ピッチベンドホイールでコントロールする場合は、次のエクスクルーシブを送ります。

    F0 43 10 4C 02 01 5D 7F F7 これ以外にも、アフタータッチやその他のコントローラーでコントロールすることができます。

    具体的な使い方の例としては、タッチワウでワウペダルとして使う、ロータリースピーカーの回転速度をコントロールする、ディストーションのDrive(ドライブ)をコントロールしてギターソロに幅を持たせるといった使い方が考えられます。

    コントローラーを一度設定すると、エフェクトタイプを変更しても、エフェクトパラメーターのControl欄に●の付いたパラメーターを常にコントロールできる状態になります。一度、モジュレーションホイールにでもアサインして、いろいろと試してみてください。


今回はこれで終わりです。
次回をお楽しみに



この講座に対するご意見や要望などありましたら、dee@dipss.comまでメールをお送りください。お待ちしております。