EOS B900

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■TKサウンドをROMで内蔵したワークステーション

EOS B900を大きく特徴づけているのは、ROMに内蔵されている、小室哲哉氏プロデュースの内蔵ウェーブとプリセットボイスをはじめとするTKサウンドである。
一般的にEOS B900のようなAWM2音源(PCM音源)のシンセサイザーの場合、内蔵するウェーブによって楽器の性質が全く変わってしまう。
たとえば、ビンテージシンセのウェーブを多くプリセットした商品や、エスニックやSFX系のウェーブをプリセットした商品などは現実にいくつかのメーカーら発売されている。
音楽のジャンルについて考えてみても、ジャズやフュージョンで必要なウェーブと、ダンス系の音楽で必要なウェーブとは異なるはずだ。
それじゃあ小室哲哉氏プロデュースでジャパンポップス専用のシンセサイザーを作ってしまえ。ということで企画されたのがEOS B200であり、その方向性は最新のEOS B900にまで引き継がれている。

現実に国内市場だけをターゲットにして企画された商品は、シンセサイザーやワークステーションの中では、全てのメーカーを見渡してもこのEOSシリーズだけであり、ここにEOSの魅力の秘密があるのだろう。
EOS B900も、小室哲哉氏のサウンドをウェーブROMに内蔵することで、他の全てのワークステーション(どんなジャンルにもマッチする無難なウェーブを積んだワークステーション)とは全く異なった商品になっている。
あるミュージシャンのカラーを前面に出したワークステーションを商品化するというあたり、ヤマハの企画力というか、思い切りの良さを感じるし、またそれがシーンの最先端をカバーできる商品になるという小室哲哉氏の大きさみたいなモノに感心してしまう。
実際、ジャングルやレイヴをはじめとする小室哲哉サウンドのファンには、たまらないワークステーションだろう。



■EOS B900の機能

ではここで、EOS B900の機能について簡単に説明しよう。
EOS B900の機能面は、先に発売されているQS300とほぼ同等の仕様になっているため、ここではB700と比較しながら軽く説明するにとどめたい。
EOS B900は、B700からほぼ全ての点で大きく進化している。音源は定評のあるAWM2音源になり、リバーブ、コーラス、バリエーションという3基のエフェクトまで装備した。
この進化のおかげで、出音はB700とは比較にならないほどクリアーになっている。しかも、内蔵音色が896音色も用意されており、TKサウンドを再現するのに充分なボイスを持っている。

もちろん、ボイスエディット機能も充実している。フィルターやEGを使った音色の変更も、大きなディスプレイで全体のデータをグラフィックな表示で確認しながら行える。

また、フロッピーディスクも装備してデータの保存も楽になった。
このあたりも、B700でデータ保存用のデータカードやMDF2が必要だったことを考えると大きな進化だといえる。

EOS B900になって最も進化したのは、QY300と同等の機能を持ったシーケンサー部だろう。このシーケンサーはスタイル機能を備えていて、プリセットパターンを組み合わせ、コードを並べるだけで簡単に曲作りができる。
これは、B700が持っていたリズムパターンに、ベースやコードバッキングなども付け加えてバッキングパターンにしたものだと考えればいいだろう。
EOS B900には、ダンス系を中心として800種類ものバッキングパターンがプリセットされているので、ジャングルやハウス、アシッドジャズのような最先端のダンスミュージックも、パターンを組み合わせるだけで作れてしまう。

もちろん、演奏を録音するためのトラックも16持っていて、B700と同じようにリアルタイムやステップで入力することができる。こちらも、ディスプレイが大きくなって操作が分かりやすくなり、ジョブコマンドが充実していて編集作業が楽にできるようになった。間違った操作でデータを消してしまったときなどに、操作を取り消してデータを元に戻すUNDO(アンドゥー)というジョブがあるなど、便利な機能も多数用意されている。

では次に、そのQS300との相違点について説明しよう。



■EOS B900とQS300の違い

EOS B900とQS300は、内部構成がほとんど同じで、いわば兄弟(もちろん姉妹と考えてももらって結構です)の関係にある。
しかし、いくつかの仕様の違いによって、ワークステーションとしての性格やユースは、全く異なっている。そのあたりを整理してみよう。

まず、EOS B900がアンプ、スピーカーを内蔵している点。
アンプ、スピーカーが内蔵されているので手軽に音を出すことができる。
また、リアパネルにはオーディオのインプット端子を持っているので、CDプレーヤーやウォークマンをつなぐこともできる。一方で、アンプ、スピーカーの分だけ重さが増し、持ち運びには不便になった。

次に、QS300に装備されていたリアパネルのフットコントローラー端子が、EOS B900にはついていない。
別にフットボリューム端子は装備しているのでボリュームペダルを使う分には支障はないが、QS300ではフットコントローラーでエフェクターをコントロールしてワウペダルとして使ったり、フィルターやピッチなどを自由にコントロールできる機能が付いているだけに残念だ。

そして、これがもっとも大きな違いだが、EOS B900では内蔵しているウェーブ、ボイス、パターンの1部が異なっている。
具体的には、QS300からSFX系のウェーブが削られ、変わりにダンス系の音楽でよく使われるスクラッチやシャウト、ドラム系統のウェーブが多数入っている。
特に、ドラムのウェーブが増えたのはありがたい。
ボイスは、SFXバンクのボイス数が減り、プリセットボイス128音色については全く異なったボイスが入っている。
これらのボイスは、シンセパッド、シンセリード、シンセベースを中心にした、特徴的なモノに仕上がっている。
パターンは、スタイルの1〜12に「t'sPop」としてTMNetworkやTMNでよく使われていたバッキングパターンが用意され、それ以外にもユーロレゲエ、テクノポップなど、合計14スタイル×8セクション=112パターンが新しくプリセットされている。
このプリセットボイス、ユーザーボイス、プリセットパターンを利用すると、ジャングル、レイブといったシーン最先端の小室サウンドを再現することができる。
ただ、その分だけQS300から削られているボイスもあるわけで、EOS B900とQS300とは目指す音楽によってはっきりと性格づけられているといえる。



■クリアーで線の太い音

EOS B900の出音を一言で表すと、クリアーで線の太い音といえる。
プリセットやインターナルのボイスを選んで演奏すると、B700とは次元の違う出音に驚くだろう。
特に、プリセットのボイスはシンセパッド、シンセリード系の音を中心によく作り込まれていて、適当なコードを押さえているだけでも弾いていてあきない。アナログシンセサイザーの音もしっかりとカバーされており、シンセベース系の音もLowがしっかりと出て太い音に仕上がっている。

このあたり、もちろんB700とB900の音源の違い、エフェクトの機能やクオリティの違いによる差が出たものである。

プリセットボイスの中には、ボイスネームに「MW」、「AT」という文字が含まれるモノがある。
これらは、モジュレーションホイールやアフタータッチでフィルターやエフェクターをコントロールし、音色変化を起こすボイスだ。ぜひ試してみて欲しい。
また、タッチの強弱で音色変化を起こすボイスもあるので、これも試してみよう。



■他機種との互換性

これまで説明してきたようにEOS B900は非常に個性的なワークステーションであり、QS300に比べると他機種との互換性が多少犠牲にされている。
実際、EOS B900のトップパネルにはXGマークどころか、GMマークすら見あたらない。
しかし、幅広い互換性を誇るQS300の双子の兄弟に当たるだけに、条件付きながらやはり多くの機種と互換性を持っている。

まず音源フォーマットであるが、GMには完全対応、XGにはSFX音色を除いて対応している。
また、TG300Bモードによって、ローランドのGSにもSFX音色を除いてほぼ対応している。
もっとも、これはヤマハが保証しているわけではないので、近い音が鳴る程度に考えておいた方が無難だろう。
とはいっても、条件付きながらGM、XG、GSに対応することで、現在市場に流通しているほとんど全てのソングデータを再生できることになる。

シーケンスファイルフォーマットは、スタンダードMIDIファイルとESEQに対応している。この2つのフォーマットに対応していることで、市場に流通しているほとんどのシーケンスファイルを読み書きすることができる。

また、フロッピーディスクドライブも、2DD(720KB)と2HD(1.44MB)のDOSフォーマットに対応している。2HDに対応したことで、コンピューターとのやり取りがしやすくなった。

QY300、QS300との互換性だが、プリセットフレーズはこの2機種と全く共通のモノが入っているので、シーケンサー部で制作されたデータは、プリセットフレーズさえ使用しなければ100%再現される。



■続々発売される別売ディスク

EOSでは、これまでにもB200、B500、B700用に、TKシリーズというカードセットが発売されていた。
今回発売されるEOS B900では、同じくTKシリーズがフロッピーディスクの形で発売される予定になっている。
実際にディスクを見たわけではないので詳しいことは分からないが、資料によると、各ディスクについて、ソングデータが約5曲の他に、パターンデータ、フレーズデータ、ボイスデータが収録されたディスクになるらしい。
つまり、単にデータ曲集やボイスディスクとして活用する以外に、オリジナル曲を制作する際の素材集としても活用できるわけだ。こうしてみると、EOS B900は、TKシリーズをはじめとする別売ソフトウェアの充実と共に、その用途や能力が広がっていくと考えられる。

TK1000/TETSUYA KOMURO 「trf Mega-Hits#1」
収録曲:survival dAnce、masquerade、EZ DO DANCE、寒い夜だから、GOING 2 DANCE

TK2000/TETSUYA KOMURO 「trf Mega-Hits#2」
収録曲:CRAZY GONNA CRAZY、BOY MEETS GIRL、Overnight Sensation、Silver and Gold dance、愛がもう少し欲しいよ

TK3000/TETSUYA KOMURO 「t's HyyperPop#1」
収録曲:恋しさとせつなさと心強さと、もっともっと、CANDY GIRL、HAPPYY WAKE UP、ONLY YOU

TK4000/TETSUYA KOMURO 「t's HyyperPop#2」
収録曲:最新ヒット曲を収録予定

TK5000/TETSUYA KOMURO 「Jungle & dAnce #1」
収録曲:WOW WAR TONIGHT、NO NO COMPUTER、MOVE YOUR BODY、RESCUE ME、SCAN MME